雨が降れば・・・、松下幸之助と松浦清に学ぶ、中小企業経営のコツ

傘と机

 沖縄九州から梅雨入りが始まっています。この季節には特に、松下幸之助の「雨が降れば傘をさす」という言葉が思い出されます。そんな当たり前のことが何なのか、と思われるかもしれません。しかし幸之助いわく、そこには事業発展の秘訣、経営のコツがあるといいます。

 本記事では、故野村克也監督(原典は松浦清)の「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」という言葉とともに、経営者・管理職が実践すべき考え方について考察します。

1. 松下幸之助の「雨が降れば傘をさす」から学ぶ

1-1 「経営の神様」の意図は?

松下幸之助は、松下電器(現パナソニック)の創業者として知られ、「経営の神様」とも称されていました。彼は、企業経営の秘訣を聞かれた際に「雨が降ったらあなたならどうするか」と逆に質問したといいます。

1-2 傘をさすように経営する

異なる習慣の国もありますが、日本では雨が降ったら「傘をさす」のが当たり前です。ではそのように経営する、とはどういうことなのでしょうか。仕入に対してきちんと利益をとって販売する、売掛はきちんと回収する、その他にも、その時々の状況に応じて「普通こうするよね」と思われる当たり前のことを実践することが、経営のコツだというのです。

2. 松浦清の「負けに不思議の負けなし」から学ぶ

2-1 経営にも役立つ名将の言葉

故野村克也監督が江戸時代の剣豪・松浦清(松浦静山)の剣術書から引用した「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」という言葉は、スポーツや勝負事の世界の格言だと思われがちです。しかしそこにも、ビジネスの成功にも役立つ、重要なヒントがあります。

2-2 成功・失敗の要因とは?

思いがけないプレーで勝ちを拾うことはあっても、負けるときには「それをやったら負ける」要因があるもの。このように、勝つときに偶然や想定外はあっても「負けに偶然はない」のであれば、負ける要因は事前に想定できるということです。つまりその対策をすることが「負けない経営」ということといえます。

3. 共通の教訓

3-1 負けない経営、当たり前ができる経営

どちらの名言からも、当たり前のこと、事前に想定できることをしっかり実践・対策するのが、経営のコツだということが分かります。どの会社にも課題はたくさんあり、その対応に日々追われているのが現実だとは思いますが、事前に分かっていて当然にすべきことを見極め対応することが重要だといえるでしょう。その実践、できていますでしょうか。

3-2 弱みを潰す、ではない

筆者がここで気をつけたいと考えるのは、弱みを並べ、それを片っ端から潰していくこととは違うということです。企業の課題に対して、重要度や発生確率等を考慮し、優先順位をつけていく中で、当たり前のこと、事前に分かっているはずのことを見逃さずに考慮することが大事だと思います。

4. 中小企業の現場に落とし込む実践法

4-1 結局何をすればいいのか?

やるべき当たり前のこと、事前に分かっている課題、といっても実際には何をすればいいのか分からない、ということも多いと思います。ではそれを検討することから始めるのはどうでしょうか。月に1回など時間を決め、カレンダーアプリ等に、今すぐ定期的な予定として登録してみてください。小さな習慣作りが、大きな差となってくるはずです。

4-2 過去の失敗、業績推移から

創業間もない企業でなければ、これまで上手くいかなかった経験も色々とあるでしょう。また月次決算や棚卸など、結果として出てきた数字も材料になります。こうしたものを、記録・分類していけば、確実に課題を見つけ出すヒントになります。

4-3 スピードを活かす

大企業が持っていない中小企業の最大の強みは、判断・実行のスピードです。計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のサイクルを、時間を決めて業務に組み込むことで、備えと分析の習慣が身につきます。特に「Check」を軽視せず、数字や事例で振り返ることが肝要です。

5. 困ったときは

5-1 優先順位が分からない!

課題が見えてきても、全てをすぐに対策することは大変困難です。発生する確率と、影響度(金額等)の2軸で分類し、優先順位を考えてみてください。確率が高く、影響が大きいものは当然として、確率が低くても、影響が非常に大きいものも、しっかりと対策することが大切です。例えば防災の備えは大丈夫でしょうか。

5-2 できたら苦労しない!

課題は分かっているけど、それができないから困っている・・・。そうですよね。課題解決には資金や人材、ノウハウ等が必要なことも少なくありません。経営者、責任者は立場上、孤独に悩むことも少なくありませんが、一人で悩む必要はありません。

書籍やネットで調べるだけでなく、地元の経済団体や公的機関、経営者仲間、士業の専門家など、相談先はいくらでもあります。その際に、自社の課題が上記のように整理できていれば、相談相手は適切なアドバイスをしやすくなることでしょう。皆様の会社が「当たり前」の実践を通じて「負けない」経営を実現されることを期待しております。

参考:松下幸之助.com  雨が降れば傘をさす

   野村克也 語録 (WikiQuote)

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